【ゲームレビュー】超話題の18禁RPG『ドーナドーナ いっしょにわるいことをしよう』って知ってる!?

2020年の発売以来、美少女ゲームファン以外からも”高評価”を得ている『ドーナドーナ いっしょにわるいことをしよう』をご存じだろうか。

本作は、ユニークなものづくりに定評のあるアリスソフトが送り出した美少女ゲームだ。

美少女ゲームというと、選択肢によって分岐していくノベルタイプの作品を想像する方が多いだろうが、本作はがっつりと遊べるRPG的な要素を備え、そのうえで18禁ソフトだからこそチャレンジできる表現にチャレンジした作品である。さまざまな性癖にこたえるエッチシーンはもちろん、人を狩る”ヒトカリ”や、捕まえた女の子たちの身体を使って資金を稼ぐ”ハルウリ”など過激な要素が満載なのだ。

本作を遊んでいると、18禁のエロゲーという土壌には、まだまだ斬新で強烈なタイトルを生み出す力が残っていることをひしひしと感じる。今回の記事では、本作の魅力をネタバレ成分少なめでお届けする。

(ライター/メトロ加賀美)

かりそめの平和に抗う物語

物語の舞台は、瀬戸内海に面した企業城下町『亜総義市』。ここでは、一企業にすべてを制御された日常が続いているが、ほとんどの人々は不満なく生活を続けている。与えられた平和の中に浸っているのだ。しかしこの平和な街には”抗亜”というアンダーグラウンドな活動を繰り広げる者たちも存在している。彼らは武器をとり、ヒトやモノを奪う”ヒトカリ”、組織的売春行為によって資金を得る”ハルウリ”を生業として荒々しく生きている。


本作の主人公”クマ”は、抗亜として活動を続けるナユタという組織の一員。企業によって作られた平和の中に潜む嘘や欺瞞を敏感に感じ取り、彼はアンダーグラウンドな道を選んでいる。ナユタのメンバーたちは個性豊かでにぎやかで、彼らが仲良くしているところを見ればここにもひとつの平和があるように見える。しかし、彼らもまた抗亜であり、ヒトカリとハルウリに手を染めている。時々胸にちくりと痛みを感じながら生きるクマは、組織の活動を活発化する中で大きな事件へと巻き込まれていくことになる。

▲青い服を着た男性が本作の主人公・クマ。周囲にいる派手なメンバーたちは、ナユタの仲間たち
▲仲間たちと親密になるとエッチイベントも発生する。本作のエッチシーンは濃密なものばかりなので、実用度も高い

こうした繊細な物語を、見事にエロゲーとして成立させ、ノベルゲームではなくRPGというプレイの自由度が高いジャンルに落とし込んだのは見事のひとこと。そしてRPGとはいっても、本作に用意されているのは独自のシステムが絶妙に絡み合ったものになっており、”ヒトカリ”と”ハルウリ”による組織マネジメントを遊びごたえのあるものに昇華している。詳細については、次の項目で語っていこう。

▲組織の拠点となる”アジト”では、ヒトカリやハルウリの下準備をすることができる

ヒトカリとハルウリ
2つのパートを楽しもう

本作は大きく分けて、ヒトカリパートとハルウリパートに分かれている。ヒトカリパートでは、ダンジョンを探索し、アイテムやハルウリで働かせる女の子を手に入れることができる。ダンジョン探索中に発生するバトルはコマンド選択式のものとなっており、クマや仲間たちのスキルを使って敵を撃破していく。

バトルで重要なのは、敵の弱点に合わせたスキルを使うことと、こちらと相手の隊列である。スキルにはそれぞれ攻撃範囲が決まっており、近接攻撃的なものはこちらも敵も最前列にいる場合に成立。遠距離攻撃は、敵との位置関係が最前列同士にいる場合に使えないものもある。回復アイテムやスキルに関しても、”自分より前にいる仲間を回復”といった縛りがあるものがほとんどで、バトル中は自分と敵の隊列を注視する必要がある。

▲ヒトカリはダンジョンを探索しつつ行う。ダンジョンでは移動先を指定することでイベントや戦闘が発生。時には枝分かれするポイントなども存在し、選択によっては強敵との戦闘にもつれ込むことも

しっかりとキャラクターのバトル中の特性が分けられており、打たれ強いものや、範囲攻撃に秀でたもの、相手の行動を阻害するものなど多彩に用意されている。隊列をうまく調整しつつ、キャラクターたちの強みを活かすのが本作のバトルの肝だ。

こう書くと小難しいバトルに感じるかもしれないが、隊列の組み換えは実にテンポが良く、行動を決定する前に前後の移動が可能で、最前列にいくのも最後尾にいくのも行動のたびに自由に変えられる。慣れてくればスピーディに戦略を想像し、画面に反映することができるのだ。

▲戦闘の中には、ヒトカリ可能な女の子が登場することも。ヒトカリを成功させたい場合は、女の子を最後に残して倒す必要がある

ハルウリは、女の子に客をとらせてお金を得るパートだ。女の子は魅力やテクニックといったステータスのほか、個性によって客のとりやすさや得られる対価が変わってくる。基本的には高ステータスの女の子を働かせたいが、ヒトカリで入手した女の子のステータスはランダムで、育成にはショップで販売されているアイテムなどを使う必要がある。

そのうえ、女の子たちはなんのケアもせずに働かされると、精神的に不安定になったり、妊娠して仕事の効率が落ちてしまう。ピルを使用して妊娠を防ぎ、金銭的においしくない客が出てきたときは、こちらも魅力の低い女の子で接客して稼ぎ頭の女の子の消耗を防ぐといったマネジメントを楽しむのがハルウリパートの醍醐味となる。こちらもヒトカリパートと同じく、簡単な操作で進めることができるので安心してほしい。

▲ハルウリパートでは、次々と訪れる”客”にヒトカリでさらってきた女の子をあてがう。ヒトカリでさらってくるヒロインたちにはキュートな女の子が多いが、客は容赦なく欲望を吐き出していく
▲ヒトカリでさらってきた女の子たちには、ルックスやテクニックといったステータスが存在する。ステータスが高く、客の性癖にあった女の子を差し出すと、得られるお金も増える
▲ハルウリで登用できる女の子には、ユニークジンザイという固有の外見を持つキャラクターも存在する。顧客らとのインモラルなエッチイベントが発生することもある

ヒトカリとハルウリをうまく循環させ、キャラクターのレベルを上げ、組織の資金を集め、そして未踏の場所を探索していくことで物語が進行していく。ハルウリパートはコツをつかむとある程度パターン化できるが、ヒトカリパートは先に進むにつれて強敵が登場するため遊びごたえのあるRPGとして楽しめる。しかも本作には難度設定も存在しており、物足りないという方は上の難度を選べばさらに歯ごたえのあるプレイに挑戦できる。

いっしょにわるいことをする楽しさ

ポップなグラフィックとダークなシナリオのコントラストの中に浸っていると、自身の道徳心とでもいうべきものがコンコンと刺激されているかのような感覚になる。ヒトカリで狩ってきた女の子たちが、客に売られ、ボロボロになって組織から切り捨てられるところを目の当たりにして心が痛むこともあった。

しかしそれでもプレイをやめられない確かな深みが本作にはある。18禁エロゲーというジャンルだけが許すであろう過激なフィクションの世界をのぞき込んでみたいという欲求は、一度走り始めると止まらない。

とがったテーマの作品だから傑作なのかというと、もちろんそれだけではない。グラフィック、サウンド、プレイヤーを楽しませるゲームとしての在り方にも凄まじい作りこみが見て取れる。シナリオを楽しんでも、RPGとして遊んでも、エッチシーンに夢中になってもいい。そんなぜいたくなゲームが本作なのだ。

また、一度クリアしたら終わりというわけではなく、ゲーム側からの挑戦状的なやりこみ要素や、楽しいおまけ要素も用意されている。キャラクターのレベルや獲得金額などが一定に達すると解除されるアチーブメント的なものから、難度を調整したり、周回プレイに新要素を付与する機能もある。

▲こちらがアチーブメント。普通にプレイしていれば得られるものもあれば、ちょっと工夫が必要なものもある

また、ハルウリの女の子や顧客を、自分の好きなキャラクターの見た目に書き換えられる”自作”も活用すれば周回プレイに新鮮味が出るだろう。(自作はアリスソフトの公式ブログで紹介されたこともある機能だが、一応サポート外なので利用は自己責任で)。こうした要素をすべて楽しもうとするとプレイ時間は膨らみあがり、すべてを終える頃には思いれある一本となるに違いない。

エロゲーでしか味わえないエンターテインメントを、皆様も味わってみてはいかがだろうか。

© 2020 ALICESOFT

■タイトル:ドーナドーナ いっしょにわるいことをしよう
■ブランド:アリスソフト
■ジャンル:ハルウラレ系RPG
■発売日:発売中(2020年11月27日)
■価格:通常版 8,800円(税別) /豪華版 19,800円(税別) /ダウンロード版 7,200円(税別)
■対応OS:Windows:8//10日本語版
■スタッフ:いってんちろく / 魚介 /ダイスころがし / 桜ノ咲みえ

『ドーナドーナ いっしょにわるいことをしよう』公式サイト
https://www.alicesoft.com/dohnadohna/

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