【レビュー】番長が女装してお嬢様に!? 『Monkeys!』はただひたすらにストーリーが面白い!

才能とは、こういうものを言うのだろうか。『ノラと皇女と野良猫ハート』で大きな存在感を示した鬼才・はとが企画とシナリオを務めたHARUKAZEの新作『Monkeys!』は……とても面白い。ビジュアルノベル形式のAVGである本作だが、テキストの軽妙さ、予想不可能な展開、洗練されたBGM、漫画を思わせるような画像演出など、優れたコンテンツを作り上げる才能とセンスを強く感じさせられる作品だ。正直、紹介するのが楽しみでしょうがないタイトルに巡り合えたのは筆者にとって幸運と言えるだろう。

▲最初はバラバラだった皆が一つになっていく

ヤンキー校とお嬢様校の統合!? そんなのあり?

▲喧嘩自慢の男子が集う雑木林東校の廃校計画が、物語のスタートだ

『Monkeys!』全体を貫く面白さの源泉。それは個性豊か……を通り越し、暴走した個性を貫き通したキャラクターたちが織り成す、素晴らしいテンポの会話劇だ。

ヤンキーが集う男子校の生き残りをかけた、超お嬢様学校との合併計画。こんな無茶な計画を勢い全開で実行に移した主人公・猿吉と、暇で暇で暇すぎて、あまりの暇さに死んでしまったお嬢様、月島カラス。そして二つの学校の生徒たちを中心としたキャラクターたちが予測不可能なストーリーを展開するのが『Monkeys!』だ。

本作の舞台となるのが、喧嘩自慢が集まる男子の巣窟・雑木林東校と、大正時代に華族の令嬢を受け入れるために設立され、現代でも名家のお嬢様を数多く受け入れている「超・お嬢様学校」の硝子ノ宮女子校の二つの学校。両極端もいいところの両校を結ぶ接点などどこにも無し。

お互いに存在を意識せずに生きている両校が、どうして関わりを持つことになったのか。それは雑木林東に持ち上がった廃校計画が原因だった。

▲超お嬢様学校・硝子ノ宮女子

奇想天外なストーリー

▲こちらが主人公の 浮木々猿吉 (男)

主人公の浮木々猿吉(うききさるよし)は、家庭の事情から血のつながった身内を持たないが、とある青果店の家庭に引き取られて暮らす、雑木林東の番長だ。苗字が「うきき」、名前は「さるよし」、おまけに実家ではバナナが簡単に手に入るということで壮絶ないじめを受けたが、持ち前の喧嘩の強さで克服した過去を持っている。

そんな猿吉は、ひょんなことから雑木林東に廃校計画が持ち上がっていることを知ってしまう。番長とはいえ、たかが学生の身に出来ることなどあるわけが無い。それでも猿吉は「俺は仲間と過ごした場所を護りたいだけだ」という意志の力で廃校計画をとん挫させる方法を思いつく。それが近隣の硝子ノ宮女子校との統合だ。

しかし札付きのヤンキー校とお嬢様学校の統合など常識的に考えて不可能だ。そこで猿吉は、硝子ノ宮女子校に通うお嬢様中のお嬢様である月島カラスが入院していることを聞きつけ、病室に駆け込み頼みごとをしようとするが……。

▲暇すぎて死ぬ。極めて斬新な死因だ

月島カラスは、すでに死んでいた。

暇で。

暇で。

暇で仕方なくて。

あまりにも暇すぎて体が死を選び、暇死していたのだ。

なんだよ暇死って。そんな死因あるのかよと言いたいが、作中で実際に暇死していたのだから仕方がない。

すでに死んでいたカラスだったが猿吉があんまり必死な上に面白く、暇を解消してくれそうなものだったからか、見事に死からの復活を遂げる。この辺ツッコミは無しで行こう。うんそうしよう。

▲月島カラス、生還の瞬間

ついさっきまで死んでいたはずなのにえらく元気になった月島カラスは、生還の立役者となった猿吉の頼みごとを快く引き受け……るようなタマではない。頭を床にこすりつけ、必死に頼み込む猿吉の嘆願書を月島流・お手手シュレッダー(素手で引き裂く)で軽くあしらう傍若無人ぶりを見せつける。

しかし統合には基本的には賛成で、目的を達成するためにはカラスを始めとする「御三家」と呼ばれる生徒たちを説得する必要があると猿吉に伝え……。

▲これが女装した猿吉ことジュリア。普通に美人だ

猿吉に、女装して硝子ノ宮女子に編入しろと要求してきたのだ。他に何の手立てもない猿吉は、否応なくジュリアと名乗り、女の園・ 硝子ノ宮女子に通うはめに。

▲お嬢様学校のルールに苦戦する猿吉(ジュリア)

金髪自転車暴走世話焼きお嬢様・ 硝子ノ宮硝子

歩き方ひとつを注視される環境下で、カラスのおもちゃにされながら懸命に女子高生を演じる猿吉の前に、残る二人の御三家が姿を現す。

▲御三家のひとり、硝子ノ宮硝子(がらすのみや がらす)

見た瞬間にお嬢様だと分からせる金髪とマント姿。威風堂々たる巨乳、いや爆乳を誇らしげにかざしているのが御三家のひとりである硝子ノ宮硝子だ。学内の意思決定を行うお茶会を仕切る超お嬢様で、誰よりも早く学校に来て誰よりも遅く帰宅する姿は硝子ノ宮の模範とされている。

当然、登校時は運転手付きのリムジンか何かで通ってくるのかと思いきや……。

▲インパクトの強い登場シーンだ

よもやの自転車である。しかもかなり勢いよく突っ走っている。髪の毛が後輪に絡まったりしないのかと思いきやしっかりカバー付きなのも細かいところまで気が使われた良い仕事だ。あと、登場シーンのBGMがなぜか演歌調なのも面白い。豪奢で壮麗な音が来ると想定していたところでこういうことをされると思わず吹き出してしまう。面白さとは普通から少しずらしたところに生まれるギャップであることを実によくわかっている。

▲おい猿吉、そこを代われ

人格的にも優れており、自らを姉と称し 硝子ノ宮の生徒たちを妹と呼んで愛情を注いでいる。猿吉(ジュリア)が歩き方ひとつ満足にできないことを即座に見抜き、お嬢様としてのマナーを叩きこむための講師役をかって出てくれるほどの面倒見がよく、皆に慕われる真のお嬢様だ。

しかし共学化には反対の立場を取っている。しかし一見完璧に見える彼女も大きな問題を抱えており、猿吉は信頼と愛情を勝ち取るに問題解決のために尽力していくこととなる。

男装してるけど男のことをよく知らないお嬢様・ 霧灯ユキ

▲絵にかいたような男装の麗人お嬢様だ。絵だけど

次に姿を現したのが、男装の麗人、霧灯ユキ(むと ゆき)だ。歴史ある演劇部で男役として絶大な人気を誇り、同性からアプローチをかけられることも日常茶飯事の 全硝子ノ宮女子憧れのお嬢様だ。

▲2階の窓から平気で飛び出せる身体能力の持ち主だ

運動神経も抜群で、道を歩けば歓声があがり花束が差し出される。彼女だけ制服が違うが校則には男装してはいけないルールはないため、黙認状態。もちろん御三家としての家の力も考慮されているだろう。男役をこなす関係で男性の身体のつくりに興味深々だが、周囲に男性がいないのが悩みの種。

あらたな舞台で不良役をこなすことになり困っていたのだが、ひょんなことから男らしいふるまいを見せた猿吉(ジュリア)に興味を持ち、男とは何かを直接学ぶようになっていく。あと一見貧乳に見えるが実は巨乳であることを付け加えておく。

色々と怖いお嬢様・月島カラス

▲顔は可愛いしスタイルも抜群だが色々と怖い人だ

最後に紹介する御三家は、すでに登場している月島カラスだ。旅館業から始まった月島家は今や様々な事業を手掛け、総資産の単位が兆を叩き出す巨大財閥の令嬢だ。この三人が集う全会一致が原則のお茶会で共学化を提案し、支持を得られれば見事共学化の目標を達成できるという寸法だ。

第四のヒロイン・メバチ

実は硝子ノ宮には夜学があり、一見お嬢様っぽくないキャラクターも登場する。その中でも重要な役割を担っているのがメバチだ。実家が突然裕福になったので両親が良い教育を受けさせようと考え、硝子ノ宮へ入学してきた。紛争の多い地域で育ったため、サバイバル術に詳しく刃物の扱いに長けている。一応お嬢様なんですがね。

硝子ノ宮の夜学に通いながら、道を踏み外しそうな友人の護衛をしているキャラクターだ。最初に見たときはサブキャラクターかと思ったが、ストーリーが進展するにつれて重要なポジションを占めていることが明らかになっていく。

▲オープニング画面は様々な物が用意されており、キャラクターの一端を伺い知ることができる

ストーリー分岐については、 まず硝子ノ宮硝子 ・ 霧灯ユキ ・メバチの3つが用意されており、3人をクリアすると最後に月島カラスのストーリーが公開される仕様となっている。

なお、本タイトルは18禁のため、当然エッチなシーンは存在している。しかしプレイしてみた感触では作品の軸はあくまでもストーリーに置かれており、エッチシーンはきちんと作られてはいるが重要なポジションを占めてはいないように思えた。もっと言ってしまえば無くても成立するだろう。

本作のストーリー・キャラクター・演出は『ノラと皇女と野良猫ハート』 と同様に、コンシューマーやアニメ化を前提として作られているように思える。おそらくではあるが、本作はメディアミックス企画の先鋒として世に送り出されたのではないだろうか。もし筆者の予想が正しいとしたら、おそらくそれは更に面白いものになるだろう。そう確信できるほどに、本作は良質なエンターテイメントとして成立している。

▲猿吉(ジュリア)はいったい何をしているのか。ぜひあなたの目で確かめて欲しい

最終章となるカラスのストーリーでプレイヤーを迎える衝撃の展開と、バラバラだったヤンキーたちとお嬢様の意志がいつしか一つの目的を共有し、『Monkeys!』となるストーリーを堪能してみてはどうだろうか。オープニングテーマ「明日を漁れ」が最後に流れるみんなが好きな展開が、貴方を待っている。


■タイトル :Monkeys!(モンキーズ)
■ブランド: HARUKAZE
■ジャンル:アドベンチャーゲーム
■発売日:2021年10月29日
■対応OS:Microsoft Windows 8.1/10
■価格:パッケージ版 1万780円[税込] / ダウンロード版 8800円[税込]
■年齢区分:18歳未満購入禁止
■スタッフ:
キャラクターデザイン:cake
シナリオ :はと

■公式サイトURL:https://harukaze-soft.com/monkeys/

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