【レビュー】『FLIP*FLOP 〜INNOCENCE OVERCLOCK〜』は独自性の高いユニークな世界観とメインヒロインに特化した純愛が見どころ!

DiGination より2022年10月28日に発売された『FLIP*FLOP 〜INNOCENCE OVERCLOCK〜』(以下、『FLIP*FLOP』)。本記事では作中のテキスト+グラフィックの合わせ技で丁寧に積み重ねられている世界観作りや、メインヒロインのイオに徹底的にフォーカスしたHシーン&ストーリー展開など、『FLIP*FLOP』が持つ魅力を紹介していきたい。

(ライター:マンモス丸谷)

個人用AIアシスタントホログラム「ティンク」が存在する世界を丁寧に描く

『FLIP*FLOP』は、テキストを読み進めていくオーソドックスなアドベンチャーゲーム。プレイヤーは主人公、六郷志伸の視点から物語を体験していく。

ゲームをプレイし始めてまず印象に残るのは、主人公の志伸や他のキャラクターとの会話の中に散りばめられている、本作ならではの設定だ。『FLIP*FLOP』は、スマホが時代遅れのツールになった近未来という時代で、さらに志伸たち登場人物が生活する都市、新翠は、「ティンク」と呼ばれる動物や妖精の姿をした個人用AIが隅々まで行きわたっているティンク特区という設定。

ゲーム序盤は田舎で機械嫌いの祖父と暮らしていたためティンクを知らない志伸を通して、『FLIP*FLOP』の世界観、そしてメインキャラクターたちの人となりを無理なく紹介していく作りになっており、プレイヤーも自然とティンクや新翠に興味を持ちつつゲームを進められるようになっている。

▲本作の舞台、新翠は住人ひとりひとりにAIアシスタント、ティンクが行きわたっており、交通システムや決済などもほぼすべて電子化されている近未来の都市
▲主人公の志伸はティンクの存在を知らない、新翠では特異な存在。そんな彼が新翠の常識を覚えていくというゲーム序盤の過程で、プレイヤーも『FLIP*FLOP』の世界観を理解していける
▲本作独自の設定はキャラクターのかけ合いに加えてTIPSでもわかりやすく説明される
▲ゲームの本筋からずれた、ちょっとした笑いを誘うTIPSが表示されることも。現代より数十年は先に進んだ未来っぽい舞台の『FLIP*FLOP』においても、FANZAは健在

そしてティンクを始めとした、『FLIP*FLOP』ならではの設定がプレイヤーの頭に入ってくるあたりまでテキストを読み進めていくと、ストーリーはいよいよメインヒロイン、イオが登場するパートへ移行する。祖父の形見であるスマホに隠されていた謎を解くと、イオが現れ、志伸のティンクとして生活をともにすることに。その後はイオというキャラクターの魅力を全面に押し出すエピソードがどんどん積み重なっていき、ラストへ向かっていく。

▲『FLIP*FLOP』のヒロイン、イオ(写真左)。等身大、人間型、そして言語でコミュニケーションを行なえる唯一無二のティンクとして登場する。一人称はボク

イオにまつわるエピソードは、話が進むにつれ志伸とイオの距離が縮まってイチャラブ描写が増えていくといったスタンダードなものを押さえつつ、「ひとりエッチを覚えたことで情報処理が追いつかず、イオのホログラム表示(見た目)がバグる」、「肉体を得たイオに戸籍を与え、人間として学校に通えるよう奔走する」といった、『FLIP*FLOP』の設定、世界観を活かした話も盛り込まれている。

突き詰めるとシリアス寄りのSFになり得そうなテーマを、軽くて明るいタッチ、かつイオのかわいさを強調するような形で描いているのも、本作が持つ独自の魅力と感じた。

▲ホログラム体のティンクから人間と同じ肉体を得る存在へ変化していくなど、SF要素強めのエピソードが存在するのも本作ならではの魅力
▲純愛系の美少女ゲームの王道といえる、(異性というよりは友達として)距離感の近い存在から、恋愛対象に変化していく志伸とイオの関係性も見どころ

エッチシーンはメインヒロインひとりのみ! 潔い仕様

『FLIP*FLOP』はストーリーや世界観のテキストボリューム、日常シーンでの会話やイチャラブ描写に力が入れられているロープライスタイトル。エッチな場面はメインヒロインのイオのみに割かれているうえ、その多くがゲーム後半に集中していたこともあり、エッチな場面の満足度は高め。

最初に見られるエッチシーンは、ホログラム体のイオと志伸がお互いの姿をオカズにオナニー(見抜き)するという尖った(?)シチュエーションで、以降は肉体を持ったあとのイオと志伸が互いを求めあって肌を重ねる、というスタンダードな内容へ……となる。ティンク(イオ)がホログラム体という設定は、ふつうのエッチシーンのよさ、純愛ゲームとしての強度を高める働きにひと役買っているように感じた(エッチシーンに入る前に。志伸に直接触れられないことに切なさを感じるイオの心情に何度かテキストで言及されるため)。

▲エッチシーンの多くはストーリー上の展開でイオが受肉してからのゲーム後半に集中している。そのためホログラム体とエッチするような、特殊な性癖向け(?)のシチュエーションもアリ!

独自性のある世界観と、メインヒロインのイオに特化した作りが特徴の『FLIP*FLOP』。欲を言えば、イオ以外のヒロインとのエッチシーンも見たいのだが、どうやらこの欲求は今後展開される派生作『FLIP*FLOP ~RAMBLING OVERRUN~』(2023年2月24日発売予定)などを追いかけていけば解消される模様。ティンクをめぐる物語、『FLIP*FLOP』シリーズはまだまだ広がりを見せそうなので、公式サイトのキャラクター紹介を見て気に入った女性キャラクターがいれば、次作以降でのエッチシーン実装を期待しつつ、本作に先行投資してみるのはいかがだろうか。

▲『FLIP*FLOP ~RAMBLING OVERRUN~』では、志伸のよき協力者として登場した天才ティンク開発者、月ヶ丘蘭がメインヒロインのストーリーが展開されるようだ

■タイトル:『FLIP*FLOP ~INNOCENCE OVERCLOCK~』
■ブランド:DiGination
■ジャンル: オレとティンクのドタバタ青春恋愛ADV
■キャラクターデザイン・原画: 茉宮祈芹
■企画・シナリオ: 保住圭
■SDイラスト:すきま
■サブ原画:基井あゆむ/八島タカヒロ/籠目/結城辰也
■発売日:2022年10月28日
■価格:通常版 :3,080円(税込)/イオちゃん大好きBOX:18,480円(税込)
■対応OS:  日本語版 Windows 10 64bit / Windows 11
■公式サイト:http://www.fanzagames-digination.com/flipflop_io/

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