【レビュー】戦国絵巻活劇『八剱伝』の魅力は、元ネタに負けない壮大なスケールの物語!

IRODORIより2024年1月26日に発売された『八剱伝』。本作はIRODORIのデビュー作にして家庭用ハードやスマートフォンアプリなどに移植されたヒット作、『桜花裁き』以来およそ6年ぶりにリリースされた新作だ。

本記事では8人の主人公と40名にのぼる多様なサブキャラクターが織りなすスケールの大きな群像劇、戦国乱世×美少女ゲームだからこそ描けたハードな世界観など、『八剱伝』が持つ魅力を紹介していきたい。

(ライター:マンモス丸谷)

ストーリー、登場キャラクター数、演出、ボイス……あらゆる要素のボリューム大!

『八剱伝』の魅力としてまず挙げられるのは、美少女ADVとしてのスケールの大きさだ。本作には4組8人の主人公が登場し、4つの軸となるストーリー(ルート)が同時進行。プレイヤーが年表フローチャートに表示されたエピソードを読み進めていくと、他の主人公のルートを含めた新たなエピソードが解禁され、これを繰り返すことでゲームが進んでいく。

▲『八剱伝』は8人の男女が主役。志乃/宗介ルートは安房国を収める大名、里巳氏に付き従う佐倉家の女武者として、敵対する武家との戦いや、見知らぬ犬に託された、村雨丸にまつわる謎に迫っていく

▲古文吾/幻八ルートは、主に志乃、宗介と敵対する北丞家の領内で物語が進行。よろず屋に舞い込む依頼をこなしていると、やがて関東一円で渦巻く陰謀に巻き込まれることに

▲仇討ち代行を生業とする男と、一族の仇を探す二刀の女が出会いから始まる導雪/華野ルート。華野の仇、眼帯の剣士の足取りを追っていくうちに、他の主人公と運命が交錯していく

▲予知能力を持つ少女、大鶴がと、謎多き軽薄な風流人、真兵衛が主人公の大鶴/真兵衛ルート。外の世界を見たいと願う大鶴が自信を庇護する宗教団体、朱教の寺から抜け出し、真兵衛と出会うことで幕を開ける

序盤(1~2章あたり)は、一部の選択肢が別のルートに影響を与える以外はほぼ独立した状態で進んでいくが、中盤(3~6章)あたりに入ると戦場で相まみえる、サブキャラクターを通して出会うといった形で接点ができ、ストーリー的にもわかりやすく4組の主人公の行動や思惑が重なっていく。そして終盤(7、8章)では主人公全員が集結、最終決戦へと赴く……という流れの熱いストーリーが展開されていく。

▲全8章で構成されている『八剱伝』本編。どのルートも1章あたり4~6程度のエピソードが用意されているため、ゲーム全体のテキストボリュームはかなり多め

ちなみに本作に登場するキャラクターについて、女性主人公はもちろん、男性主人公、40名にのぼるサブキャラクター(犬数匹を含む)、雑兵や村の老人といったモブキャラクター、すべてにボイスが設定。戦闘時にふんだんに挿入されるエフェクトや墨絵風のCGとあわせて、演出面に力が入れられているのも見どころとなっている。

▲モノクロの墨絵風CG、さまざまなエフェクトやカットイン、そして声優陣による熱演がバトルを盛り上げる

▲ストーリーが進行すると各章の頭に挿入されるOP曲&ムービーが変化。動画は3rdOPの「死命」

『八犬伝』と戦国時代が融合した独自かつスケールの大きな世界観

ゲームの設定、世界観のスケールが大きいのも『八剱伝』の魅力のひとつ。本作はタイトル、主人公たちの名前が示す通り、江戸時代(1814年~1842年)に生まれた長編小説『南総里見八犬伝』がモチーフになっているADVだ。

ただ本作のストーリーは「紅和」という架空の年号の時代で展開され、作中の文化レベルや地理(領土)情報などは、1500年代前半~中盤あたりの日本、とりわけ関東地方を模したものになっている。つまり日本のゲーマーにとっては最もなじみ深いであろう(?)、戦国時代が舞台となっているのである。

▲本作は1400年代半ばが舞台の『南総里見八犬伝』よりはやや後の時代、1500年代の戦国時代をもとにした世界がベースに

そのため本作には『南総里見八犬伝』ベースのキャラクターに加えて、北丞(条)氏康、上杦(杉)輝虎(のちの謙信)といった戦国時代の中でも屈指のメジャーな戦国大名とその配下を彷彿とさせる武将がサブキャラクターとして登場。とくに武家を率いる立場である志乃と宗介が主役のストーリー、北丞家と縁のある人物が複数人登場する幻八/古文吾編の序盤~中盤にかけては、戦国時代の武将たちが活躍。現実世界で記録に残っている合戦を模した戦いも描かれる。

▲歴史ゲーム好きにとっては、小国ながら北丞(条)家を退け、戦国時代を生き抜いた里巳(見)家の視点から関東の情勢や合戦を見られるのも面白さを感じられるポイント

▲里巳、北丞、上杦、それぞれの当主や家に属する男性サブキャラクターの多くには元ネタとなっている武将がいる

もちろん本作は『八剱伝』という独立したゲームとして完成していて、この1本だけでも十分に楽しめる。ただ、そのうえで歴史ものエンタメが好きな人であれば、キャラクターの名前や作中での立ち位置などを見ることにも楽しみを見出せるはずだ。

▲バトル描写や主人公たちの心理描写だけでなく、サブキャラクターを魅力的に見せるためにも、多くの筆が割かれている

エッチシーンは後日譚でまとめて解放

目まぐるしく戦況や領地が変化する時代背景、そして主人公全員がなにかしらの使命、もしくは自身の命と引き換えにしても殺したい仇がいる……というハードな世界観の『八剱伝』。そのためか本編中のエッチシーンはなし。4組の主人公+αが肌を重ねるエッチシーンは、ゲームクリアー後に解放される後日談に集中して置かれている。ゲーム本編の年齢制限は性描写ではなく、物語が進むにつれて次々と命を落としていくキャラクターたちの命運と、その描写に割かれていると考えてもらっていいだろう。

▲序盤は武家どうしの合戦、中盤からは巨悪の陰謀、終盤は主人公それぞれの仇敵との戦いなどで、多くの登場人物が命を落としていく

メインストーリーとは切り離されているエッチシーンだが、志乃、幻八、華野、大鶴にはそれぞれ4~5つのエッチシーンが登場。また、戦国時代が舞台、ゲーム序盤で間違った選択肢を選ぶと死亡してしまうケースはあるものの、苛烈な凌辱シーンはなし。激闘を駆け抜けた主人公たちが結ばれる、純愛エッチシーンしか収録されていないので、「エロ」方面の描写で心理的ハードルを感じることはないはずだ。

▲後日譚では過酷な戦いを終えた主人公たちの穏やかな生活と、エッチシーンが見られる

▲Hシーンは100%純愛……なのだが、主人公4組すべてに道具を用いたソフトSMシチュエーションが存在する

年齢制限がある美少女PCゲームというプラットフォームだからこそできる表現で、古典『南総里見八犬伝』と戦国時代を融合させた、独特かつ大きな物語を描き切っている『八剱伝』。モチーフ元を知る歴史好きな人はもちろん、熱いバトルや読み応えのあるゲームやノベルを求めている人にも体験してほしい1作だ。

▲Hシーンと本編が完全に分離されているため、自宅以外でプレイするハードルが低いのも利点といえる。大ボリュームの本編をいち早く読み終えたいという人は、スマートフォンでもプレイできるブラウザ版がオススメ

■タイトル:八剱伝
■ブランド:IRODORI
■ジャンル:戦国絵巻活劇
■発売日:発売中(2024年1月26日)
■価格:パッケージ・初回限定版:12,100円(税込)、パッケージ・豪華特装版:14,080円(税込)、パッケージ・豪華特装・桜花裁き同梱版:16,280円(税込)/ DL版:8,800円(税込)
■制作スタッフ(一部):
原画:宍戸くろう/榊水夏
シナリオ:海水塩湖
SD原画:腹ぺ娘
■対応OS: Windows:10/11
■ブラウザ版対応OS:Windows 10,11 Mac OS X Yosemite以上 Android 5以降 (7以上推奨)  iOS 最新バージョン
■公式サイト:https://www.irodori-soft.com/8kenden/

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