【レビュー】『旭光のマリアージュ』の魅力をネタバレ控えめでお届け! ハードかつ完成度の高い3つのシナリオが堪能できる意欲作

ensembleより2024年8月30日に発売された『旭光のマリアージュ』。同ブランド30タイトル目となる本作は、ダークファンタジーADVと銘打たれたジャンル名に偽りのないハードなストーリー展開。質、量ともに充実したバトル描写が用意されており、パッケージ版を購入したユーザーの多くから高評価を受け、ダウンロード版の発売が決定した(2024年10月25日発売予定)。

本記事について、ネタバレにつながる情報は同日に発売された全年齢版『旭光のマリアージュ episode LIA』の配信可能な範囲(リアルート)までに留めつつ、本作の魅力を紹介していきたい。

(ライター:マンモス丸谷)

「ダークファンタジーADV」の看板に偽りなしのハードなトーンで物語が展開

『旭光のマリアージュ』は、周囲の国家が近代化する中、魔術による力で体制を維持する宗教国家、ミディールが舞台。プレイヤーは、ミディールの魔術師養成学院である、エインセル大修道院に入学する主人公スレン・アイリークの視点から物語を体験していく。

ゲーム序盤(共通ルート)では、スレンが妖精の花嫁(ブライド)と呼ばれるミディールの守護者のひとり、リアと契約を交わすまでの顛末に始まり、クラスメイトでありミディール王女のフィーネ、その従者のクロエ、そのほか学院で生活をともにするキャラクターたちとのやり取りで、ストーリーが進行。それと同時に本作の物語を理解するために必要な用語や設定 (妖精と魔術の関係、エインセル大修道院を取り巻く状況、妖精の花嫁が持つ強大な力etc……)がスマートな形で少しずつ明らかにされていく。

▲本作の主人公、スレン・アイリーク(左下)。彼が妖精の花嫁のひとり、リア(中央)と契約するところから物語が始まる

▲ゲーム序盤の共通ルートは魔術学院のクラスメイトのアルフィーネ(左)やクロエ(中央)たちとのコミカルなやりとりなど、比較的ほのぼのとしたノリで進んでいく

そしてさらにストーリーが進んでいくと、スレンが魔術学院にやってきた真の目的が判明し、物語全体の雰囲気が激変。会話もシリアスなトーンとなり、魔術師と妖精の花嫁が命を賭けて争うハードなバトルが次々と巻き起こるリアルートへと突入していく。

▲スレンが学院にやってきた理由を明確に思い出すと、物語のトーンが一気に変わる。リアルートの場合は、10年前にスレンとその家族を死に追いやった関係者全員を殺害していく、復讐劇の幕があがる

なお本作はリアルートに限らず、ストーリーの流れに応じて適宜キャラクターの視点が移る形式となっている。そのため妖精の花嫁どうしの戦いといった、主人公のスレンがその場にいないバトルの内容、スレン以外のキャラクターの心理状況などもかなり事細かに描かれる。丁寧な描写の積み重ねで物語に厚みを持たせている点は、本作の大きな魅力のひとつになっている。

▲スレンがいないシーンではリアをはじめとしたメインヒロインに視点が移り、彼女たちのバトルでの活躍や心理状況が描かれる

3つのルートをプレイすることで浮かび上がる、『旭光のマリアージュ』の真の姿

物語の流れにあわせてキャラクターの視点が変化、バトル時には魔術や剣戟にあわせた複数のスクリプトが表示されるなど、ストーリーの見せ方や演出は凝ったしかけが施されている『旭光のマリアージュ』だが、一方でゲームとしての作りはかなりシンプル。

シナリオルートの分岐に関わる選択肢はひとつだけなうえ、3つのルートをプレイする順番は固定されており、そのためゲームの進行を妨げるようなギミックは一切存在しない。テキストを読み進めていけば、本作が持つ魅力は余すことなく体感できる。

▲ルート分岐に関わる唯一の選択肢。最初はひとつしか選択肢が表示されないが、リアルートをクリアーするとクロエルート、クロエルートをクリアーするとフィーネルートに入れる選択肢が現れる。このシーンでセーブしておこう

ネタバレをなるべく避けつつクロエルート、フィーネルートの見どころを紹介すると、

①    ルートによって激変するストーリー展開&バトル内容、
②    サブキャラクターの描き込み、
③    リアルート、クロエルートプレイ時に残る疑問はフィーネルートで全て解決

といった点が挙げられる。とくに③の手際は本当に鮮やかで、本作の物語の発端となる10年前の事件の真相、スレンの正体、事件に関わった登場人物が抱える葛藤など、キャラクター個々の謎の答えが描かれる。もちろん、本作における魔術とは?妖精や邪霊との関係は?といった『旭光のマリアージュ』の世界観全体に関わる設定まわりへの疑問も解決。

さらには「この世界の住人は魔術に頼りすぎじゃね?」「妖精の花嫁の犠牲で成り立っているミディールって国はおかしいのでは?」といった、ゲームを進めていくとプレイヤーの頭をよぎる、感情面から湧いてくるクエスチョンに対しても、ストーリー上できっちりと決着がつけられている。

▲ルートによってキャラクターの立ち位置が大きく変わるのも本作の注目ポイント

最後にエッチシーンの内容に関しても触れておきたい。本作はここまで説明してきたとおり、メインストーリーの完成度に重きを置いているタイプの作品なため、サブキャラクターとのセックスや複数人でのプレイといったエッチシーンは用意されていない。各ルートのメインヒロインと「この状況、タイミングであればお互い体を求めあうだろうな……」というシチュエーション時にエッチシーンが挿入される形式になっている。

▲本作のエッチシーンひとつひとつは長めなので、たっぷり堪能できる

▲ルートクリアー後に現れる項目、MEMORYをクリックすると、追加のエッチシーンも……!

ルートによって大きく変化するストーリー展開&バトル、繊細なキャラクター描写、作中の疑問にすべて答える見事な伏線回収など、非常に完成度の高い物語を堪能できる作りになっている『旭光のマリアージュ』。ストーリーを重視した美少女ゲームを好む人には、とくにオススメしたいタイトルだ。


■タイトル:旭光のマリアージュ
■ブランド:ensemble
■ジャンル:ダークファンタジーADV
■発売日:発売中(2024年8月30日) ※ダウンロード版は2024年10月25日発売
■価格:
 ROYAL EDITION(豪華版)14,080円[税込]
 通常版 10,780円[税込]
 ダウンロード版 10,780円[税込]
■対応OS:Microsoft Windows10/11 日本語版
■スタッフ:
 原画:なのたろ 佑真 柊林檎 湊みなも タハラ白樹
 シナリオ:浅黄アキ
■ブランドURL:https://www.ensemble-game.com/
■公式サイト:https://www.ensemble-game.com/30.kyokumari/ 

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