【レビュー】『悠刻のファムファタル』はバッドエンドも含めてすべて見たくなる!? 運命の少女と迎えるさまざまな結末は必見!!

エスクードより2024年9月27日に発売された『悠刻のファムファタル』。本作は伝奇ADVと謳われているが、その看板に偽りのない幻想的な世界観の物語となっており、その中で美少女キャラクターたちとのシリアスめな恋愛が展開される。

本記事ではネタバレにつながる情報はゲーム中盤、共通ルートまででわかる内容に留めつつ、『悠刻のファムファタル』が持つ魅力を紹介していきたい。

メイドと「伝奇」の組み合わせから生まれる、独特の雰囲気

『悠刻のファムファタル』は、主人公である若手作家の日下部彰が祖母の死をきっかけに訪れた、とある地方都市の山奥に佇む洋館「紅葉館」とその周辺が舞台。プレイヤーは日下部彰として、紅葉館に住む花の名前を冠した4+1人のメイドと交流していく。

▲本作のメインヒロインとなるのは4人のメイドで、それぞれに花の名前が割り振られている。写真はメイド長のローズマリー(写真左)と客室メイドのマリーゴールド(写真右)

▲清掃、洗濯や庭の手入れを担当するラベンダー(写真左)と、料理担当のブラックリリー(写真右)

スタート直後はメイドたちとのコミカルな会話や、紅葉館や町を巡る日常描写がテンポよく積み重なっていくため、ラブコメものの美少女ゲームっぽいテイストで進んでいく。ゲーム内で数日が経過するころには、その雰囲気は徐々に変容し、メイドたちの言葉に謎めいたニュアンスが含まれていく。夜だけに現れるメイド、アマリリスとの会話中には、表示はされるものの初回プレイ時には選ぶことができない選択肢が表示されるなど、どんどん不穏な空気が流れるようになる。

▲紅葉館の夜番を務めるメイド、アマリリス。メインヒロインではないが重要な役割を担う

そこからさらにゲームを進めていくと、日下部に東京から作家の仕事が入り、その影響で紅葉館から離脱。いったん物語は〆に入っていく。そして最後にはメイドたちの死を連想させるようなビジュアルが映し出され、プロローグと呼ぶにはなかなかのボリュームの「つかみ」が終了。最初の(バッド)エンディング、「夢幻航路」を見ることになる。

                                  

▲初回プレイ時には必ず見ることになる、ショッキングなビジュアル

プロローグ(夢幻航路ルート)をひとまず終了させると、初回プレイ時には選べなかった選択肢がクリック可能になり、よりメイドたちと深く関わることになるゲーム本編の共通ルートが解禁。

こちらではプロローグで匂わせていた紅葉館の成り立ちや、メイドたちの思惑などが少しずつ明らかになっていくとともに、ある日を境にメイドたちの名前(役割)が入れ替わり、それぞれ秘められた「力」を持っていることがわかった。その「力」の謎を解きつつ、メイドたちと真に心を通わせるには、彼女たちの本当の名前を知る必要がある……といった「伝奇」らしい謎と不穏な空気が漂う物語が展開されていく。

話を読み進めていけばいくほど、プレイヤーの興味をそそる情報や新たな謎が湧きあがってくるストーリーテリングの巧みさは、見事のひと言。ストーリー重視の美少女ゲームを好む人には、プロローグや共通ルートだけでも十分オススメできる内容になっている。

▲共通ルートに入ってしばらく話が進むと、メイドたちの名前が入れ替わったり、超常的な力を発揮するといったイベントが起こり、物語全体の雰囲気が不穏な方向へと変わっていく

ヒロイン個別のルートはもちろん、バッドエンドの見ごたえも十分

共通ルートを読み終えると、いよいよメインヒロインである4人のメイドたちの個別ルートに入っていく。それぞれのルートに入るフラグに設定されている選択肢の一部は、プロローグのときのように初回プレイ時には選べなくなっているため、個別ルートはマリーゴールド→ローズマリー→ラベンダー→ブラックリリーの順でプレイしていくことになる。

加えて、本作にはルートの分岐に関わる選択肢へ一瞬で戻れるフローチャートが存在するため、ゲームの進行のさせ方がわからなくなることはまず起こらないはずだ。

▲ワンクリックで戻りたい選択肢、シーンへと飛べるフローチャート。

▲フローチャート画面では、ゲームの進行にあわせて日下部が記した日記を読むこともできる。日下部が直面している問題や謎が簡潔にまとめられているため、ストーリーの流れを振り返る際に役立つ

ただ本作には、プロローグからブラックリリールート終了後に解禁となる最終章「FEMME FATALE」に至るまで、数多くのバッドエンドが用意されている。この複数のバッドエンドとすべてのフラグメントをチェックしなければ、すべてのCGやエッチシーンを回収できない点は覚えておきたい。

バッドエンドといっても、ただただ理不尽な目にあって死んでしまうといったような内容なものはなく、それぞれのバッドエンドに読み応えのあるストーリーが用意されている。とくに個別ルートに入ってからのバッドエンド(スタッフロールが流れないほうのエンディング)は、「ファムファタル」という言葉が持つ意味(運命の女。映画などでは「男を破滅させる魔性の女」という文脈で使われることが多い)を考えると、トゥルーエンドと同じかそれ以上に納得感の高い物語を見せてくれるとも思える。どのエンディングも一見の価値はあるので、フローチャートを活用してぜひ本作の物語すべてを体感してほしい。

▲バッドエンドの多くには、トゥルーエンドでは見られないハードめなエッチシーンが含まれている

▲プロローグや共通ルートから派生するエンディングも複数存在する。忘れずにチェックしておきたい

ちなみに本作のエッチシーンだが、ストーリー重視の美少女ゲームとしてはかなり多め。メインヒロイン4人には5つ以上のエッチシーンが用意されており、残るメイドのアマリリスにも4人とほぼ同等のシチュエーションのエッチシーンがある。3Pのような複数人のプレイもカバーされており、トータルで35のエッチシーンが見られるので、メイドたちのビジュアルに惹かれて本作を購入しても、十分に満足できるはずだ。

▲エッチシーンの質・量もハイレベル。個人的には全員一律に巨乳キャラではなかったり、ラベンダーだけ陥没乳首など、エッチシーンのあるキャラクター全員にはっきりとスタイルに差異をつけている点に制作陣のこだわりを感じた

プレイヤーをぐいぐい引き込む強度の高いストーリーとフローチャートシステムのおかげで、質の高いストーリーやエッチシーンを迷わずコンプリートできる遊びやすさも兼ね備えた『悠刻のファムファタル』。「伝奇」というワードに思い入れのある人、伏線回収が巧みなノベル、ゲームが好きな人にはぜひ触ってみてほしいタイトルだ。


■タイトル:悠刻のファムファタル
■ブランド:エスクード
■ジャンル:伝奇AVG
■発売日:発売中(2024年9月27日)
■価格:パッケージ版、ダウンロード版ともに10,780円[税込]
■対応OS:Microsoft Windows 11/10/8.1/8/7
■スタッフ(一部):
 企画・シナリオ:桐月
 キャラクターデザイン・原画:武藤此史
■ブランドURL:https://www.escude.co.jp/escude.html
■タイトルURL:https://www.escude.co.jp/product/femme_fatale/top.html

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