【レビュー】女装潜入ADV『オトメ世界の歩き方』は予想外の展開で引き込まれる!読み進めていくうちに物語のジャンルが変わる⁉

オルトロスより2024年10月25日に発売された『オトメき』こと、『オトメ世界の歩き方』。本作は男女の分断とロボットたちとの戦争が激化した未来が舞台となった、ストーリーを見せることに特化した美少女ゲームだ。

本記事では決定的なネタバレにつながる情報は伏せつつ、プレイヤーの予想を大きく超えたエモーショナルな展開を見せる、『オトメき』の魅力を紹介していきたい。

物騒な設定山盛りのディストピア世界を軽やかなタッチで描く

『オトメき』は「男女隔離法」なる法律が施行された世界。男性は人類に反旗を翻したAI「ガイア」の支配下にあるロボット部隊と戦う前線基地に、女性は女性だけが住む街で生活を営んでいるという未来の「ニホン」が舞台だ。ゲーム本編はそんな状況が当たり前になった21XX年に、男であることを隠して女性区域で暮らしていた主人公「片桐ユイ」が女性のための軍事訓練校、アカシア女子学園からスタート。ルームメイトの姫乃アカリ、義妹の片桐ヤエカ、上級生の守屋ミクと藤堂リンで構成される小隊に編入される。

▲主人公の片桐ユイ。外見や声は完璧に女性といった趣で、「彼女」がメインに描かれているサービスシーンも複数用意されている

アカシア女子学園での日常が描かれるゲーム序盤は、ユイの正体を知らずに着替えやボディタッチ多めなスキンシップを取る女性陣にあわてふためく……といったような、女装モノの美少女ゲームでは定番といえるコメディ描写が満載。そのうえで本作は、舞台が軍事訓練校であること、男女が文字通り分断された世界であるといった、『オトメき』固有の設定を使ったギャグ、戦争映画のパロディやネットミームを絡めたギャグも随所に織り交ぜてくる。

そのおかげかテキストは独特な雰囲気の読み味になっており、物騒な内容の設定が多数存在する世界のお話ではあるものの、基本的には明るいトーンでストーリーは進んでいく。

▲女装ものでは鉄板の、主人公の理性が試されるヒロインたちとのスキンシップ描写は、場面によってはイベントCGも用意されていて充実している

▲軍事訓練校が舞台ということで(?)、学園生活のあるある描写には戦争もののパロディのようなギャグが挟まれることも少なくない

女装潜入からハードな戦闘もの、そしてSFへ

決定的なネタバレを避けつつ『オトメき』の魅力をもうひとつ挙げておくと、テキストを読み進めていると、いつの間にか作品のジャンルが変わったかのような急展開を見せるという点には触れておきたい。序盤(1~4章あたりまで)のユイの女装がバレるかバレないかコメディがある程度進展すると、中盤(5~8章)からは大規模な軍事作戦に政治スリラー、小隊5人でのスニーキングミッションといった、スケールの大きい話かつユイたちがダイナミックに活躍する姿が描かれる。

▲物語の中盤に差しかかると、ロボットとの銃撃戦や命がけの潜入捜査など、ハードな描写が増えていく

▲エッチシーンはユイの女装問題にひとまずの決着がつく、4章以降からインサートされていく

そして8章でひとまずのエンディングを迎えると……これ以上は秘密にしておこう。ともあれ、『オトメき』の物語を最後まで見逃さずに確認してほしい。

ADVとしては一本道でメインヒロインはひとりというシンプルな作りだが、独特の世界観設定、練られたシナリオ、小隊メンバーの背景や心情をていねいに書いたキャラクター描写など、物語を魅力的に見せる要素の充実度は高い『オトメき』。中盤から最終盤にかけてのストーリーは、独自性と完成度が高く、なにより純粋に読み進めるのが楽しかった。美少女ゲームならではの面白い物語を体験したいという人に、とくにオススメしたいタイトルだ。


■タイトル:オトメ世界の歩き方
■ブランド:オルトロス
■ジャンル:ディストピア世界女装潜入ADV
■発売日:発売中(2024年10月25日)
■価格:通常版9,680円[税込] / 抱き枕カバー付き限定版22,880円[税込]
■対応OS:Windows10/11
■スタッフ(一部):
 企画・シナリオ:NYAON
 キャラクターデザイン・原画:mignon
■ブランドURL:https://orthrossoft.jp/

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