シルキーズプラス WASABIより発売中の『きまぐれテンプテーション2 ゆうやみ廻奇譚』(以下『きまテン2』)。本作は2019年に発売、のちに全年齢版が制作されるほどヒットした前作の世界観やゲームシステムを継承しつつ、完全新規のストーリー&E-mote(2D画像をアニメーションのように動かすツール)を使ったエッチシーンが楽しめるタイトルだ。本記事ではそんな『きまテン2』のレビューをお届けする。
ヒロイン兼バディとの会話と調査で真相に迫る
『きまテン』シリーズは、若き陰陽師、巽 悠久(たつみ はるひさ)を主人公としたアドベンチャーゲーム。本作『きまテン2』は前作のトゥルーエンド後の世界が舞台で、悠久は悪魔であるヒロインのアンネリーゼと契約、バディとして活動している状態。物語は住民が姿を消しゴーストタウンと化した分場地跡の調査から幕を開ける。
現地では依頼主の人語を操る猫又、その飼い主でゴーストタウンに留まり続ける朝桐美代、陰陽師向けのよろず屋を営むキルトといった人物たちと交流しながら、瘴気漂う分譲地跡周辺の「裏世界」の調査と、行方不明となっている美代の双子の姉、朝桐千代の捜索を行なっていく。
本作は約4000円で買えるおトクな価格帯でありながら、しっかりと「ゲーム」的な体験ができる工夫が凝らされているのが特徴だ。裏世界の調査パートはプレイヤーが任意で行きたい場所を選び、移動先で「見る・調べる」やアンネと「会話する」コマンドを選ぶことで、事件解決の手がかりを入手していく作りになっている。
また、個人的にはストーリーに深く関わる、ホラー要素の作りこみも印象に残った。悠久やアンネ、美代といった主要キャラクターは美少女ゲームらしいかわいくポップな見た目だが、裏世界で遭遇する怪異のビジュアルは、かなり本格ホラー寄り。とくに「赤子のようなもの」や「すすり泣く女」などはその姿を現す際のSE(泣き声)とあわせて、かなり不気味さを感じた。
加えてこの地域で失踪事件が発生するに至った経緯、怪異の正体といった設定面も、和風ホラーでは王道ともいえる「因習村もの」らしい理由づけがしっかりとなされているのも特筆しておきたいポイント。ホラーもののエンタメが好きな人は、探索パートとストーリーの流れを追うだけでも高い満足度を得られるはずだ。
ヒロインアンネの魅力を全面に押し出すエッチシーン&立ち絵
本作は美少女ゲームとしては、メインヒロインを魅せることに特化した作りになっており、アンネ以外とのルートやエッチシーン&イラストは存在しない。ただし、そのぶんアンネ関連のグラフィックには気合が入っており、立ち絵はE-moteで表情がセリフや状況によって目まぐるしく変化し、立ち絵の体が動けば乳揺れも見られる。
さらにストーリーを進めていくと合計4つの衣装が手に入り、会話中の立ち絵やE-moteを使ったエッチシーンでいつでも着せ替えが可能に! そのためE-mote関連の差分はとんでもない数になっており、ゲームクリア後に解禁されるE-mote鑑賞モード「アンネビューアー」と「アンネの部屋」は、エロゲーとしての実用性と遊びがいが両立したものになっている。
ちなみに本作のエッチシーンだが、コンプリートするには裏世界をくまなく探索し、すべての呪物を集める必要があるため、1周プレイしただけでは取りこぼしが起こりやすい。調査パートに入ったらこまめにセーブしておくか、エンディングを堪能した後に各種モードの要素をアンロックできる「解放」ボタンをクリックし、すべてのシーン、差分を見られる状態にしてしまうといいだろう。
お買い得価格でありながら、ゲーム本編、エッチシーンともにプレイヤーを飽きさせない仕掛けが随所に施されている『きまぐれテンプテーション2 ゆうやみ廻奇譚』。伝奇、ホラーものの物語が好き、アンネのビジュアルが気に入ったという人は、本作のみならず前作も併せてプレイしてみてほしい。
そして本作を堪能させてもらった身としては、新たな事件に挑む悠久&アンネの活躍が見られる続編の発売に期待したい。
■タイトル:きまぐれテンプテーション2 ゆうやみ廻奇譚
■ブランド:シルキーズプラス WASABI
■ジャンル:美少女悪魔と事件調査ADV
■発売日:発売中(2024年11月29日)
■価格:パッケージ版4180円(税込)、ダウンロード版3960円(税込)
■対応OS:Microsoft Windows10/11
■スタッフ(一部):
企画・シナリオ:かずきふみ
キャラクターデザイン・原画:きみしま青
■ブランドURL:http://www.silkysplus.jp/html/index.html