【体験版レビュー】『さよならを教えて』のスタッフが再集結! 衝撃作『Geminism 〜げみにずむ〜』が描く異様な世界とは?

「この演目は虚構です。虚構を虚構として受容できない方、とりわけ、欠損した人体を忌避する方、健常者にしか人権を認めない方等には精神的嫌悪を与える可能性があります。上記に該当する方は、遊戯をご遠慮くださるようあらかじめお願い申し上げます。」

これは、11月24日発売の『Geminism ~げみにずむ~』を起動すると最初にプレイヤーの目に飛び込んでくる注意書きだ。この文を目にするだけでも、本作がいかに異様な雰囲気を放っているかは想像に難くないだろう。本作は、伝説のアダルトゲーム『さよならを教えて ~comment te dire adieu~』で知られるCRAFTWORKの最新作であり、同ブランドが得意とする圧倒的な表現力や唯一無二の世界観が完全復活を果たす作品となる。

本記事では、無料で配信されている体験版の流れと見どころをご紹介する。なお、作品の性質上、やや残酷な画像が含まれるため注意してほしい。

アダルトゲームブランド・CRAFTWORKとは?

本題に入る前に、本作を開発するCRAFTWORKについて説明する。CRAFTWORKは、『for elise ~エリーゼのために~』、『さよならを教えて ~comment te dire adieu~』などカルト的な人気を誇る作品を生み出してきたブランドだ。

1996年から2001年ころまで作品をリリースしていたが、『さよならを教えて』のリリース後、長い沈黙期間に入ることになる。そんな中、およそ22年ぶりの復活を果たすのが本記事で取り扱う『Geminism ~げみにずむ~』というわけだ。

本作では、同ブランド主宰の長岡建蔵氏が原案/原画/監修として実に17年ぶりにPCゲーム制作に復帰する。また、シナリオには商業漫画家・イラストレーターとして活躍する旭氏を起用している。そして音楽にはさっぽろももこ氏、シナリオ補佐には石埜三千穂氏と、かつて『さよならを教えて』に携わっていたスタッフが再集結している。

いきなり少女が殺し合い…

▲双子の姉・廣杣桔梗。青いリボンと瞳が特徴で、おっとりとした雰囲気の人物だ

▲双子の妹・廣杣深紅。赤いリボンと瞳が特徴で、いつもツンとした表情を浮かべている

体験版を始めると、いきなり2人の少女が学校の校庭で殺し合うという衝撃的なシーンから始まる。この2人は廣杣桔梗(ひろそま・ききょう)廣杣深紅(ひろそま・しんく)といい、双子の姉妹である。見た目こそ瓜二つだが、性格は正反対のように見える。この場面では、深紅が木製バットで桔梗を殴り殺そうとするが、勢い余って手から離してしまう。

▲立ち絵はフルカラーだが、時折入るカットインのイラストはモノクロと単色というカラーリングで描かれていて、非常にクール

深紅の行動に対し、桔梗は「深紅がズルする! 卑怯ですよねェ? これェ!」と、武器を使うことが卑怯であることをとある男に訴える。どうやら、突発的に行われた殺し合いではなく、試合のような形式で行われているようだが、まるで殺し合いではなく姉妹喧嘩をしているような言い方だ。

▲怪しい男その1、山家淡墨。全身を包帯でぐるぐる巻きにし、古風な口調で喋る

▲怪しい男その2、月城月白。美しい長髪を持ち、妖艶な表情を浮かべる

双子から少し離れた場所では、2人の怪しい男がこの喧嘩を見守っている。この男は山家淡墨(やまが・あわすみ)月城月白 (つきしろ・つきしろ)といい、どうやら双子にこの殺し合いをさせているようだ。

月白は優しげで妖しい表情を浮かべながら、双子の残酷な殺し合いを楽しみ、淡墨は一見礼儀正しいような態度を見せるが、決して殺し合いを止めることはない。現実の社会常識や倫理観から大きく外れた展開にプレイヤーは翻弄される。

▲バットの底部に桔梗の血がついている

双子の殺し合いは状況が一変し、深紅が桔梗に馬乗りになる。そして、バットのグリップエンド(底部)で顔を殴り、桔梗を痛めつける。

▲桔梗は見るも無惨な姿に……

桔梗は必死に抵抗したが、その甲斐なく顔や骨を殴られてしまう。指があらぬ方向に折れ曲がり、顔には無数のあざ。目はうつろになり、失禁によって下着に染みができているのがとても生々しい。暴力と血の匂いが漂うゲームの気配を感じる。

淡墨の「其処迄(そこまで)!!」という声が響き渡り、殺し合いに決着が付いたことを知らせる。桔梗は殺され、深紅が勝利したようだ。そして、「勝者が敗者の身体の一部を得られる」という衝撃的なルールが実行に移されていく……。

▲美しく上品そうな顔立ちの月白だが、それに似合わず下品な言葉を放つ

身体のどの部分を要求するのかというシーンで、淡墨は、深紅に対し「して、“何処”に?」と問いかけ、月白が「あ! そうだ! “おま◯こ”とかどう!?」と囃し立てる。残酷な戦いの後なのに、異様なテンションの淡墨が本作の雰囲気を雄弁に物語っているように感じる。

結果として、深紅が「桔梗の腰部」を要求すると、淡墨と月白が刃の見えない刀を取り出す。死んだと思われた桔梗は意識を取り戻し、「厭だ」と抵抗を見せるが、透明な刀身に斬られてしまう。

しかし、桔梗の身体には斬られた跡はない。双子は何が起こっているか飲み込めないまま、身体の内から湧き上がる“不穏”に身悶え、最後には、2人の泣き叫ぶような顔が映される。将棋の結果のような画面に切り替わり、桔梗のおま……ではなく、腰部が深紅に映されたことが表現されている。体験版はここで終了となる。

体験版を終えると、放心したような感覚を覚えた。いきなり少女が殺し合うシーンから始まり、謎の男が出てきて、身体の一部が移されて……と、常に翻弄され続けるような内容だった。一方でテキストやイラスト、CRAFTWORKが得意とする不思議かつ、不穏な雰囲気が醸し出されている。この体験版だけではまだ謎だらけで、この先の展開が非常に気になる仕上がりになっている。製品版では、体験版を超える驚きや興奮が待ち受けているに違いない。

ちなみに、本作にはキャラクターボイスが搭載されているが、廣杣桔梗は中家志穂氏、廣杣深紅は中家菜穂氏と、なんと本当に双子の声優が演じている。緊迫した殺し合いのシーンも迫真に演じており、実に聞き応えがあるので、ぜひボイスをオンにして楽しんでほしい。


■タイトル:Geminism ~げみにずむ~
■ブランド:CRAFTWORK
■ジャンル:惜夜(あたらよ)のしあわせ探しADV
■原画:長岡建蔵
■シナリオ:旭
■シナリオ補佐:石埜三千穂
■音楽:さっぽろももこ
■発売日:2023年11月24日
■価格:通常版価格:5,170円 / ブラウザ版(β)+壁紙セット:5,720円
■対応OS:Windows 10 / 11
■公式サイト:https://www.craftwork.media/Geminism/

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