萌えゲーアワード2010 受賞タイトル発表

シナリオ賞

 今年のシナリオ賞はブランドとしては6年ぶりの新作発表となったケロQの『素晴らしき日々~不連続存在~』が審査員推薦ながら満場一致を獲得し金賞となりました。簡潔で力強いテーマをもとに生み出されている多層的なシナリオ、そして尻上がりにユーザーの心を惹きつけていくストーリーとシナリオの構築においても、内容においても非常に高い完成度であったことが今回の受賞の決め手となりました。また銀賞を受賞した『Dies irae~Acta est Fabula~』は07年に発売された前作の完全版ということで、名作と言われていた前作に登場した各キャラクターについての物語が深く掘り下げられていたり前作で語られることのなかった伏線がきちんと回収されており、こちらもシナリオの完成度という点では文句なしということで銀賞の受賞となりました。
(パソコンパラダイス編集部 編集長 西平和則)
受賞タイトル一覧

金賞 素晴らしき日々~不連続存在~(ケロQ)
銀賞 Dies irae~Acta est Fabula~(light)

主題歌賞

 主題歌賞は例年激戦となるのですが、今回は『涼風のメルト-Where wishes are drawn to each other-』が満場一致で金賞受賞となりました。
 『涼風のメルト』の主題歌「Believe forever」は、ゲーム冒頭の雰囲気が伝わる楽曲で、佐藤ひろ美さんの力強いボーカルと曲のノリの良さが良い相乗効果となり、ゲームで展開されるドタバタ感がうまく出ています。主題歌というのはこういう曲だということを改めて実感させていただきました。
 すんなり決まった金賞に反し、銀賞は選ぶのに苦労しました。最終的に、楽曲数の多さと、それぞれの完成度の高さから、『コミュ-黒い竜と優しい王国-』が受賞となりました。もっとも評価の高かった「内なる雨」は、ゲームの壮大さを感じさせる期待感をあおる楽曲で、凝った構成と、その新しさが素晴らしかったのですが、欲を言えばせっかくのギターソロをもう少し前に出しても良かったのではないかと感じました。
(Game-Style創刊者・初代編集長 齋藤 大祐)
受賞タイトル一覧

金賞 涼風のメルト-Where wishes are drawn to each other-(Whirlpool)
銀賞 コミュ-黒い竜と優しい王国-(暁Works)

BGM賞

 完全に頭一つ抜きんでていた『Dies irae~Acta est Fabula~』が文句なしの金賞受賞となりました。『Dies irae Also sprach Zarathustra』が2008年にBGM賞の優秀賞を獲得していたことが少し問題視されましたが、追加された曲の素晴らしさがそれを吹き飛ばしました。
 全体的にシーンを盛り上げるフレーズが使われており、その曲を聞けば、流れているシーンがすぐ思い浮かぶという、ゲームBGMとして大変重要なこと、そして困難なことを高い次元で実現していました。そのため、プレイ後に印象に残る曲数も大変多く、その数においても他作品を圧倒したと言えるでしょう。
 銀賞となった『黄昏のシンセミア』は、他の作品にはあまりない「シンプル」な曲の作りが特徴で、それが舞台設定の「田舎さ」を表現する一助となっていました。ただ、そのシンプルさに加えて主旋律を1つの楽器で決めている曲が多いため、聞く人によっては単調に感じてしまう部分があり、一歩譲る結果となりました。
(Game-Style創刊者・初代編集長 齋藤 大祐)
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金賞 Dies irae~Acta est Fabula~(light)
銀賞 黄昏のシンセミア(あっぷりけ)

グラフィック賞

 今年のグラフィック賞にはそれぞれ少しずつ異なったタイプの作品がノミネートされましたが、そんな中、金賞を獲得したのが『Prism Rhythm-プリズムリズム-』でした。たにはらなつき氏、せせなやう氏が描く魅力的なヒロイン達の美しさはもちろんのこと、細かい部分まで描きだし細部まで丁寧に塗られた背景や、水の描写、光の演出なども非常にクオリティが高かったことが受賞の決め手となりました。銀賞に輝いた『戦女神VERITA』はファンタジーRPGというゲーム性の高い作品を作りながら、イベントCGやキャラクターはもちろんのこと、マップやダンジョンなども丁寧に塗りあげられており、非常に高いクオリティの作品であることから、今回の受賞となりました。
(パソコンパラダイス編集部 編集長 西平和則)
受賞タイトル一覧

金賞 Prism Rhythm-プリズムリズム-(Lump of sugar)
銀賞 戦女神VERITA(エウシュリー)

キャラクターデザイン賞

 主人公の妹・皆神さくやが、非常に人気が高い本作。兄のことが大好きながらも、実際には一歩距離を置いて接するさくや。そのリアルさが感じられる兄と妹の距離感~空気感が、これ迄の妹キャラにあまり無かったタイプで、ハマった人には最強の妹キャラになったようだ。他にも、幼い外見の従姉妹の少女・岩永翔子や、ミステリアスな大人の女性・銀子など、登場人物全員が魅力的。その理由は、原画を手掛けるオダワラハコネ氏が描く魅力的なグラフィックと、プレイしていて思わずニヤニヤしちゃうキャラたちの楽しい掛け合い。そして妹キャラのさくや同様、どのキャラも適度なリアルさを持って描かれているのが、本作の特徴だろう。「魔妹(まもうと)」と称されるさくやの魅力に触れるだけでも、一見の価値アリ!!
 銀賞の『戦女神VERITA』は、『戦女神』と『幻燐の姫将軍』2大シリーズの人気キャラが一堂に会し、その数なんと50人以上!! 超大作と呼ぶに相応しい圧倒的なキャラ数の多さが評価され、銀賞の受賞となった。
(BUGBUG編集部 編集長 大澤忠基)
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金賞 黄昏のシンセミア(あっぷりけ)
銀賞 戦女神VERITA(エウシュリー)

純愛系作品賞

 純愛系部門の評価基準としてはヒロイン達との恋愛交流部分であり、日常での小さな交流を積み重ねる事によって、どれだけ自分が恋愛体験に関われるかで評価が大きく分かれるところだ。
 金賞の『夏ノ雨』は集計当初から支持を集め、ユーザーの感想も多かった作品である。本作は夏の青春時代を爽やかに描写しており、特にキャラの感情起伏を絶妙に描き、次の展開が待ち遠しくなる魅力があった。それは一緒に過ごす充実感と、居るからこそ生まれる心配材料など、親近感を沸かせるようなイベントを配置し、クライマックスで昇華するように配慮されていた。その為プレイ後の満足感は今年度の中では群を抜いていた。
 本作はあくまでも現実世界に近い物語を貫き、特異な能力を持つキャラは登場しない。あくまで人と人との感情が交錯した人間ドラマだ。キャラ、シナリオ、演出技術もバランス良く調理され、プラトニックな純愛系作品の代表として薦められる一作と言えよう。
 銀賞の『Prism Rhythm-プリズムリズム-』はLump of Sugarが、ブランドの看板原画家である萌木原ふみたけ氏以外を初めて起用して話題となった作品である。それ故に受ける印象も変わるのではないかと懸念されたが、実際にプレイしてみると新たな発見のある作品となっていた。特にテンポ良いシナリオや、ころころと表情を変える魅力的なヒロインなど、従来までに支持された部分は健在であり、萌えと純愛をまっすぐに表現するランプらしさはそのままだ。そして今回起用された、たにはらなつき氏、せせなやう両氏が描くキャラの可愛らしさも折り紙つきである。本作は「大樹と水のヒーリングADV」と銘打たれ、水と緑の美しい自然や心地良いBGMが合わさり、穏やかで気持ちの良いプレイができる。このような気持ちになった作品は本年ではこの作品だけだ。純愛系ジャンルのトップメーカーでありながら、新たな表現に挑戦しようとするLump of Sugarに今後も期待したい。
(PC Angel neo編集部 編集長 高木敬介)
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金賞 夏ノ雨(CUBE)
銀賞 Prism Rhythm-プリズムリズム-(Lump of sugar)

エロス系作品賞

 本年度のエロス系作品賞はその趣旨を細分化し、こちらでは主に純愛的な描写を中心に選定をする流れとなった。これにより来年度からは投票部門自体にも新たに「PINK」と「BLACK」へと分割し、アダルト要素を取り扱うコンテンツとして評価部分を掘り下げた形での選定が可能となり、今後の評価が期待される。
 本年で金賞を受賞した『あまつみそらに!』は緑豊かな島に住む魅力的なヒロインとのやりとりが面白く、彼女達の強烈なアプローチが魅力的だ。特に恋人となってからの日常描写が豊富に用意され、クロシェットが得意とする「ヒロイン達とのイチャイチャ」シーンも存分に用意され、そこからのHシーンもヒロイン毎に3~4回あって、実用面でも充分な回数と言えよう。まさに二人だけの世界だ。Hな要素自体はアダルトゲーム最大のポイントだが、断片的なHシーンだけではなく、日常からスキンシップを多く入れる事で魅力を増幅させた事が受賞のポイントとなった。プレイヤーが赤面してしまうような、甘い恋愛を味わいたい人にはお勧めと言えよう。
 銀賞を受賞した『妹スマイル』は、突然やってきた6人の妹たちと繰り広げられるHな日々が楽しめ、実際にプレイしてみるとそのHイベントの充実さに驚かされた。ポイントとしてはゲーム冒頭で1人の妹を選だけでルートが決定し、あとはラブラブな毎日が巻き起こる手軽さが審査委員達に評価された。本作の特徴は、イベントが次から次へと連続発生するサービス要素であり、学園や自宅、デート先でHが続いていく。内容も妹達それぞれに違ったプレイが味わえるので周回プレイでも飽きずに楽しむ事が出来た。特にツンデレ妹の夏希が大胆にも裸で家の中を歩き回る姿には、それ自体はHイベントではないのに不覚にも満足してしまう程だ。本作はイラストが萌え系で可愛らしいにも関わらず、エロティック要素は充分。そんなギャップも印象を強めたに違いない。
(PC Angel neo編集部 編集長 高木敬介)
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金賞 あまつみそらに!(クロシェット)
銀賞 妹スマイル(しとろんソフト)

プログラム賞

 『戦女神』と『幻燐の姫将軍』といった、エウシュリーが誇る看板シリーズを交わらせた『戦女神VERITA』は、それだけで期待が高まり、2人の主人公が連動しながら進んでいく展開には多くのプレイヤーが心躍らせたに違いない。
 特に注目したいのは、両主人公の行動でシナリオが変化していくゲームシステムだろう。リウイ側で選んだ選択がセリカ側の内容に影響され、ボスまでも変化するというゲーム性は見事だ。ルート自体は3本だが、選択によって変化が生じるなど一筋縄ではいかず歯応えは抜群。エウシュリーならではのこだわりを感じた部分でもある。
 『戦女神』と『幻燐』両作の魅力を持たせた本作は、一度クリアして終わりではなく、未知の展開を求めて繰り返しプレイしたくなる面白さを持っている。RPGというジャンルをベースにしつつ、さらに新しい形を追求したゲームとすら言えるのではないだろうか。
 銀賞の『BALDR SKY Dive2』は前作『1』からの続編にあたり、両作合わせて1つの作品として構成されるアドベンチャー+アクションの大作だ。本作からでもプレイは可能だが、ストーリーの謎もあるため、初めての人は『1』からのプレイをお勧めしたい。そんな本作が銀賞となった理由はシリーズ全体を支えてきたユーザー支持票があったからこそと言える。本作の魅力はアクションゲーム部分の優秀さにあり、豊富に用意された武器を自由に選んで自分だけの機体を生み出せるカスタマイズ性の高いプレイが楽しめる。数多くの魅力的な武器を自在に操って戦えるロボットアクションは本作ならではの魅力だ。また、プレイすることで新たな武器も手に入るといった、やり込み要素もあるので何度でもプレイしたくなるのだ。操作性も良好で、簡単に遊べる点も評価したい。
(PC Angel neo編集部 編集長 高木敬介)
受賞タイトル一覧

金賞 戦女神VERITA(エウシュリー)
銀賞 BALDRSKY Dive2 "RECORDARE"(戯画)

PG賞

 BD-PGやUMD-PGの普及により今回からタイトルをPG賞と改めた本賞。中でも手軽に楽しめるUMD-PGの人気は高く、今回も4つのノミネートタイトル中3作品がUMD-PGとなりました。そんな中、金賞を獲得したのはPCゲームとして発売された際にも大ヒットとなった、あかべぇそふとつぅ『車輪の国、向日葵の少女 UMD-PG Edition』でした。笑わせるところでは笑わせ、感動させるところでは感動させる読みやすいシナリオに可愛くて魅力的なヒロインたちが丁寧に描かれているグラフィック、そしてクオリティの高いサウンドと、全てがうまくマッチしている今作は時を超えても名作と実感させるもので、堂々の金賞受賞となりました。銀賞に輝いた『凛々しき武神玲羽と甘ラブ中出し生活!DVDPG』はキャラクターのエッチシーンの濃密さや凛々しき武神娘が甘ラブになるギャップの可愛らしさなどが評価の対象となりました。
(パソコンパラダイス編集部 編集長 西平和則)
受賞タイトル一覧

金賞 あかべぇそふとつぅ車輪の国、向日葵の少女 UMD-PG Edition(palace)
銀賞 凛々しき武神玲羽と甘ラブ中出し生活!DVDPG(eants)

3D賞

 金賞を受賞したのは『BALDRSKY Dive2 "RECORDARE"』。3年前から新設された本賞ですが、ついにフル3Dではない作品が金賞を受賞しました。
これまでも『BALDRSKY』シリーズは3D賞に値するか否か、審査委員会でも論議が分かれていたのですが、今回は各部門の投票数の中でももっとも多数の票を獲得するという、圧倒的なユーザー支持を受け、堂々の金賞受賞となりました。これにより、今後は効果的に3D技術を使用したタイトルであれば全て3Dでなくともチャンスが生まれることになりました。その最初の扉を開ける意義のある受賞といえるでしょう。
 また、惜しくも銀賞となった『イチャずら-悪戯極悪ファンディスク-』ですが、ノミネートのみだった前作『いたずら極~リアル~』から確実に進化しており、2年越しで受賞となりました。ユーザーインターフェースの良さも高評価に繋がりました。
(Game-Style創刊者・初代編集長 齋藤 大祐)
受賞タイトル一覧

金賞 BALDRSKY Dive2 "RECORDARE"(戯画)
銀賞 イチャずら-悪戯極悪ファンディスク-(REAL)

ファンディスク賞

 本作は、2009年3月に発売された『星空のメモリア-Wish upon a shooting star- 』のファンディスク。魅力的なヒロインとのいちゃラブが楽しめるショートストーリーはもちろん、それ以外に2つのアフターシナリオを用意している。本編のヒロインルート並のボリュームで描かれたこのシナリオが、本編で語られていなかった部分を補完する素晴らしい出来で、ユーザーの期待に見事に応えているのが、高く評価された。なお11月26日には本編とFD、さらに録り下ろしのドラマCDを同梱した『星空のメモリア COMPLETE』も発売。興味を持った人はこちらがお得なので、是非まとめてプレイして、ロマンティックな「星メモワールド」に浸ってほしい。
 銀賞の『ハルカナソラ』は、2008年末に発売された『ヨスガノソラ』のファンディスク。本編が2010年10月よりTVアニメ化、その効果でショップによっては月間売上ランキング上位に顔を出すほど再び売れ、話題になった作品だ。もし後何ヶ月か投票期間があったら、もっと票数は伸びていただろう。そういう話題性も考慮し、銀賞に選考された。
(BUGBUG編集部 編集長 大澤忠基)
受賞タイトル一覧

金賞 星空のメモリア Eternal Heart(FAVORITE)
銀賞 ハルカナソラ(Sphere)

ロープライス賞

 金賞の『まじのコンプレックス』は、2008年のロープライス賞で金賞となった『さかしき人にみるこころ』と同じスタッフが手がけた最新作。シリーズを重ねた分、物語・キャラクターがさらに作りこまれており、多くのユーザーから支持を集めました。近年、ロープライスはダウンロード販売と併用することもあってか、わかりやすいエッチを中心に構成される作品が多くなっており、それが物語を軸に描いた本作の存在感をさらに強めた面もあると思います。また、フルプライスですが、シリーズをまとめた『神様のりんご』の同時発売も、新規ユーザーにはありがたい商品でした。
 銀賞に入った『JKと淫行教師3』は、まさにわかりやすいエロを軸とした作品。テーマを絞った内容が着実にユーザー層をつかみ、ダウンロードでも人気シリーズに成長。シリーズを4本まで伸ばしており、今後も定番として期待されます。
(PC press編集部 編集長 津田清和)
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金賞 まじのコンプレックス(light)
銀賞 JKと淫行教師3~万引き少女編~(ブルゲLIGHT)

エロス系作品賞BLACK

 今回より追加された「エロス系作品賞BLACK」ですが、その名の通り「萌え」やただのエロスでは無く、「BLACK」の名に相応しいような筋が通った内容を有していることが受賞の条件となります。BLACK賞の対象ジャンルは、ハードな内容の作品になりやすく、社会情勢等により様々な規制も発生する困難の多いジャンルと言えます。ルールを守りながら如何にBLACKな作品を作り上げるかが、制作側の腕の見せ所なのではないでしょうか?
 今回は審査委員による議論の結果、まさにハードに筋を貫いた作品を受賞作といたしました。
 受賞作『桃華散る~少女剣士の報復は慟哭に満ちて~』は、ヒロイン少女剣士゛桃華゛が、理不尽な悲劇で幕を開け、復讐そして堕ちていくストーリーが、ハードさを増しつつラストまで一つ筋の通った作品に仕上がっています。もちろん、そうしたストーリーを支えたアイルならではの、ファンを裏切らない安定したビシュアルとシナリオも高く評価されました。
(コミックマーケット準備会 共同代表 市川孝一)
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金賞 桃華散る~少女剣士の報復は慟哭に満ちて~(AIL)

プロモーション賞

 秋葉原にゲームのヒロインたちを描いたデコレーションバス、"痛バス"を走らせる。そのインパクトは大きなものでした。行なわれたのは予約が始まったGW前後。バスからはヒロインたちのメッセージも流れ、またメインストリートの看板も、ほぼ『真・恋姫†無双~萌将伝~』に。シリーズ通してキャラ数も多く、賑やかな作品ですが、そのラストを飾る「お祭り」的なソフトにふさわしい、派手さのあったプロモーションだったと思います。
 近年、他メディアのラインナップを見ておりますと、美少女ゲーム原作物が不足していると感じます。それはここ数年の不況により、市場の勢いが弱ったこととも関わりがあると思います。作品単体の魅力を伝えるだけでなく、美少女ゲームの存在感を改めて示す意味でも、価値のあったプロモーションでしょう。
(PC press編集部 編集長 津田清和)
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金賞 真・恋姫†無双~萌将伝~(BaseSon)

ニューブランド賞

 昨年までは新たに美少女ゲーム業界に入ってきた人たちによる新規ブランドが存在しましたが、今年は姉妹ブランドや、経験者による新会社のブランドが目立ちます。
 新規加盟会社の中で、好セールスを記録したのが2009年9月に発売された『トロピカルKISS』のTwinkleでした。例年、9月はリリース数の多い月で新規ブランドには厳しい時期ですが上位にランクイン。特に原画への評価が高く、また作品内容も安定。デビュー作として上々の結果だったと思います。コスプレ衣装やモバイル版なども発売されました。
 次回作が発表されていますが、コンスタントに作品をリリースし、着実にステップアップしていくことを期待しております。
(PC press編集部 編集長 津田清和)
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金賞 Twinkle

メディア支持賞

ノミネートはロープライス賞だった『神楽道中記 追加シナリオパック(Vol.1+Vol.2)』ですが、ロープライス賞は単体で完結している作品が望ましいとの理由もあり、受賞には至りませんでした。ただ、このアペンドによって同じタイトルを長く遊んでもらうという試みそのものは評価すべきだと言う声が大きく、メディア支持賞とさせていただきました。また、こういった、単体では動作しない商品をリリースすることは大変な勇気が必要となります。その英断に対しても、メディアからの支持を贈りたいと存じます。
(Game-Style創刊者・初代編集長 齋藤 大祐)

 この部門ではユーザーの支持ではなく、情報を伝える立場――つまり「媒体」が最も支持した作品について、述べさせていただくことになる。ノミネートされた作品はどれも十分なクオリティを持っていたが、ブランドイメージを貫いた『微少女』が最も相応しいという結論に至った。
 タイトルからも想像がつくだろうが、本作は女性として「微(かす)かに」発達した少女達がヒロインとなる。くびれのない「おなか」、わずかに膨らんだ「おっぱい」や骨っぽさを感じさせない「てあし」など、メリハリの付けづらい身体を、野々原幹氏が絶妙な線で見事に表現しており、そのテの趣味を持つ人間にはたまらない内容だろう。
 意外性が必要な場合もあるだろうが、ユーザーが購入前にゲームに期待していたことが、実際プレイした時に果たされるのは重要なことである。制作ブランドである「たぬきそふと」にとって『微少女』はまだ2作目のタイトルだが、自分たちがユーザーからどのような作風を求められているのか、その点を良く理解していたように思う。
 我々メディアの仕事は作品やブランドのイメージを正確に捉え、ユーザーに正しく発信していくことだと、改めて感じた。
(PC Angel neo編集部 編集長 高木敬介)
受賞タイトル一覧

金賞 神楽道中記 追加シナリオパック(Vol.1+Vol.2)(でぼの巣製作所)
金賞 微少女(たぬきそふと)

萌えゲーアワード2011