【レビュー】『流星ワールドアクター Badge&Dagger』をドラマの新シーズンのように楽しむ

2019年に発売された『流星ワールドアクター』の続編として、『流星ワールドアクター Badge&Dagger』 が2021年6月25日に発売となった。前作では”警察もの”や”相棒もの”として熱いクライム・サスペンス的なドラマを描き出し、高い支持を得た傑作となったが、今作もダークハードボイルドADVの名に恥じない濃厚な物語が展開される。

今回の記事では、ネタバレを極力抑え、本作の魅力をご紹介する。

(ライター:メトロ加賀美)

▲『流星ワールドアクター』の続編となる本作では、新たな物語が展開される。前作ではサブキャラクター的な立ち位置だった原涼子や角谷冬美たちとの仲も深まっていく

主人公・日流ルカの内面を掘り下げた傑作

本作の舞台は、人間やエルフなど多様な種族が集まる”第七共和国”。主人公の日流ルカは警察の一員で、問題児が集う”十三課”に配属されており、多くの同僚たちからはさえない刑事として扱われている。しかしその冴えない姿は、警察内部でもその情報のほとんどが秘匿されている”教団事件”を追うためのカモフラージュでもある。

前作ではルカが、上司の命令で半ば無理やり相棒となったクラリスとの出会いを通じて徐々に変化していく姿が描かれた。一匹狼的な生き方をしていたルカだが、彼の根にある優しさや情に厚い部分が徐々に掘り起こされていったのだ。

▲主人公の日流ルカ(右)。周囲からはさえない刑事として扱われることもあるが、その姿は彼なりのカモフラージュ。高い戦闘能力を持ち、その力をつかって因縁の事件を追いかけている

しかし、ルカが命を懸ける”最大の目的”は本作でも揺るがない。彼は本作でも教団事件を追い続けており、教団の関係者を見つけると狂気的な正義のもとに排除することすら厭わない。本人の寿命を縮めるような超常の異能を使ってでも、教団を消し去りたいと願う彼は破滅へと突き進んでいるように見える。そんなルカが軽口を叩き、束の間のぬるま湯に浸かれる時間が、仲間たちと一緒にいる時間でもあるのだ。復讐にとらわれた孤独な時間と、小さな光のような仲間たちとの時間が交差する物語は、見どころに溢れている。

▲ルカは周囲の人間の前では、飄々とした態度をとることが多い。しかし、かける言葉すべてが嘘というわけではなく、彼なりに仲間や同僚を思いやっているのだ

18禁ゲームということで、エロティックなシーンも存在する。しかしこれらのエロティックなシーンは、プレイヤーへのサービス以上の意味合いを持っている。ルカとヒロインが体を重ねるまでの過程は、美少女ゲームのお約束的なラブロマンスから少し離れており、ほんのりハードボイルドな風合いがあるのだ。愛情なのか、共感なのか、同情なのかわからない複雑な感情が見え隠れするSEXシーンから、誰にも心を許せないルカの悲しみが時折漂ってくる。エロティックなシーンなのに、シナリオと合わさることでプレイヤーの心に劣情だけではない不思議な爪痕が残るのだ。

『流星ワールドアクター』という壮大な物語を追う楽しみ

単刀直入に言うと『流星ワールドアクター』シリーズはまだまだ続いていくのだろうと思う。続編が出ると今の時点で断言することはできないが、日流ルカを主人公とする物語は本作でも完結していないのだ。

こう書くと、完結していない作品を遊ぶことに抵抗がある方もいるだろう。あるいは、制作側はあえて物語を小出しにしているのではと考える方もいるかもしれない。しかし、プレイした筆者からすると「そんな心配をせず遊んでほしい」と声をあげたくなる。

前作も、本作も、物足りないという感覚は少しもなかった。『流星ワールドアクター』の物語の中で、まだ語られていないものも確かにあるが、それは作品が不完全燃焼であることを意味しない。前作では、第七共和国の世界にどっぷりと入り込めるだけの物語が用意され、魅力的なキャラクターたちとの踏み込んだやりとりも楽しめた。謎や秘密も次々と明かされ、これ以上はプレイヤーのインプットが難しいというところでドラマとして美しい区切りを迎えた。フルプライスの美少女ゲームとしては十分なゲームだったし、それだけのボリュームをもってしても、語り切れないものがまだまだあったのだろうとポジティブに捉えられたのだ。

▲『流星ワールドアクター』の物語は、今回で終わりというわけではなさそうだ

そして今回、前作で残されたものを前に進めるための作品として『流星ワールドアクター Badge&Dagger』が発売となった。ロープライス寄りの価格設定ではあるが、前作のメインヒロインたち以外にスポットを当てただけのファンディスク的な作品ではない。ネタバレを避けるべく抽象的な表現になってしまうが、本作でも新たな謎や事実がプレイヤーに投げかけられ、驚かされるようなシーンもいくつかある。本作の立ち位置は”物語を終わらせるための作品ではなく、さらに広げるための作品”であると言えるだろう。

前作『流星ワールドアクター』のレビューで、海外ドラマのシーズン更新を待つように、続編を楽しみにしていると書いた。人気のある海外ドラマは、シーズン更新が行われ、次の話へとつながっていく。筆者が今見ている『ブラックリスト』はシーズン8まで更新されており、2013年から追いかけていることになる。こうした海外ドラマも、1シーズンが終わっても幹となる大きな謎は残されたままで終わることが多いのだが、残された謎があるから物足りなかったという感想にはならない。

『流星ワールドアクター』がいつまで続くかはわからないが、ひとまず現時点では安心して皆様におすすめできる傑作となっている。未プレイの方は是非この機会に、1作目から遊んでみてほしい。


■タイトル:流星ワールドアクター Badge & Dagger
■ブランド:Heliodor
■発売日:2021年6月25日
■対応OS:Windows® 8.1/10(32bit または 64bit)
■ジャンル:ダークハードボイルドADV
■原画:春夏冬ゆう
■シナリオ:衣笠彰梧

『流星ワールドアクター Badge & Dagger』公式サイト

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