■BGM賞・金賞:向日葵の教会と長い夏休み
ピアノなどのアコースティックな楽器をメインに据えて落ち着いた雰囲気をかもし出しつつも要所要所において明るさ、かわいさ、おどけた様子などの感情の起伏が見事に表現されていた「向日葵の教会と長い夏休み」。今作は、過疎化のため使われなくなる田舎の協会を舞台にした作品で、BGMでの澄んだ音色は青い空や広い高台の景色と非常に親和性が高く、落ち着いた舞台設定を引き立てる、料理に於ける良質な振り塩のような存在である。
いわゆる「ピアノ基調」というありがちなポイントに収まらず木管や弦楽器を効果的に用いている所がこの作品の良さを引き立たせているように思われる。しかしながら最後はしっかりと泣きのメロディも押さえられており、バランスのよさは抜群である。ピアノバージョンからエンディング楽曲への流れはストーリーをより心に刻みこむ重要な要素となっている。今作品のBGMは、作品にとって"物語を引き立てる最高のスパイス"であったと言えるだろう。
(電脳妄想開発室 Ayumi.)